ヅカ銀英伝見てきました。宝塚初体験の私と妹と、ウン十年ぶりという母上と一緒に。ちょうど台風が直撃しきていまして、電車が止まったり公演中止になったりしたらどうしようとさんざん気を揉みましたが、孔明の祈祷並みの鮮やかさで直撃を免れ無事に観て帰ってくることができました。
　ネタバレにならないレベルの感想を申しますと、実に面白かったです。重箱の隅をつつけば不満ゼロというわけではありませんが、こまけぇこたぁいいんだよ！歌って踊って豪華で絢爛なんだよ！と言わんばかりで、しかもそのおかげでなんとなく爽快な心持ちでありました。素晴らしい。
　さて、ネタバレになる感想は続きからです。重箱の隅をほじってます。きちんと活字に起こす時間があまりないので半箇条書きくらいでご勘弁を。

　何はともあれオーベルシュタインです。一体誰がこんなアグレッシブな彼を予想しただろうかというレベルのテンションの高さで度肝を抜きにかかります。ヒルダを意識してイケメンキメてみたり、ラインハルトの悪魔の囁きになってみたり、アレな歌を歌いながら妖しく踊ったりと、原作及びOVA版の彼からはビタイチ想像がつきません。彼のキャラ解釈は大胆です。でもけっこうよかったんじゃないかと思います。ていうか、その場で引っこ抜いた義眼を手渡しするか、普通。一番キワいシーンはあそこなんじゃないか。
　ラインハルトとヒルダは当社比30倍くらい距離が縮まってました。メインカップルですからね。これは皇帝即位と同時に皇妃も誕生するレベル。ヒルダは男装の麗人/怜悧な伯爵令嬢という要素がだいぶ抜けて乙女チックな感じでした。ラインハルトに素敵な栞を贈ったり。ここはちょっと賛否が分かれそうですね。あとフレデリカの要素（憧れている人のために軍人になる云々）も入ってる気がしたような。でも可愛かったなぁ。ラインハルト様も三次元に降臨したのかと見まごうほどの再現率と美しさでしたからね。同じホモサピエンスとはちょっと思えません。ラインハルトとキルヒアイスのデュエットもよかったです。一緒に流れ星見るとかなんともロマンチックシチュエーション。他のメンバーと若干色は違いましたが、もちっと派手でもよかったんじゃないかな、キルヒアイス。
　再現率の高さといえばローエングラム陣営の面々も凄かったです。ビッテンフェルトとか最初は「ビッテン、宝塚に出れるのか」と不安だったのに、もはやビッテンフェルト以外の何者にも見えませんでした。双璧は脚本上活躍の場があまり多くありませんでしたが、スピンオフして欲しいくらいのクオリティ。尺の問題でしょうが、ファーレンハイトやメルカッツが出なかったのがちと残念ではあります。ファー様舞台に映えそうだったんですが。
　同盟側の影が薄かったのは仕方ないことですが、ヤンはよかった。動きにキレがあるおかげでものすごい新進気鋭の有能な軍人に見えます。だらしない部分90％カット。キャゼルヌやシェーンコップが出なかったのでその要素を吸収してる部分もあったのかな？しかしユリアンのアシストがあったとはいえ憂国騎士団（複数）をボコボコにしてたのには唖然としました。原作とかOVA版だったら逆にボコボコにされてましたよ。というか、コインで人生決められたジェシカ……。
　トリューニヒトの再現率もかなりのものでした。クーデターがちゃっちゃっと片付けられちゃったのはちと寂しかったですが。
　で、フェザーン陣営は完全にナレーション担当でした。お疲れ様です、ルビンスキーさん。さすがに宝塚的に禿はダメだったのか、ルビンスキーさん。
　艦隊戦もよかったです。心底格好良かった。素晴らしい歌と踊りのシンクロというのは心をスカッとさせるものがありますね。フィナーレでは興奮のあまりなにか脳汁的なものが出まくりでした。まあ脚本にも、「皇帝はほんとのことわかってなかったと思うなァ」とか、「ユリアンもフレデリカもおまけポジションだったなァ……」とか、「ラインハルト様、原作より豆腐メンタルだなァ」とか思うところはあったんですが、すっかりハイになってしまいました。妹とあーだこーだ言い合っても、お互い「こまけぇこたぁいいんだよ！」「考えるな、感じろ」で落ち着くという。
　そして帰宅後、いやーよかった、素晴らしかった、おもしろかった、DVD買おう！と思ってパンフレット見たら価格10k越えで目ん玉が飛び出ました。これが今回のオチでした。もうちょっとリーズナブルに……平民に優しく……。