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2024/11/26  [PR]
 

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 習作です。続きにあります。カニバリズム的表現を含むので、苦手な方はご注意ください。



 大理石を磨きぬいたような、それより遥かに透き通ったような薄く白い皿の上に、へぼ詩人が横たわっている。一糸もまとわず、死んだような姿で。
 と、もご、と口が動く。なにか喋ろうとしているようだ。耳をそばだてて聞けば、私を食べてと言っている。私は柔らかいよ。肉なんかほろほろちぎれるよ。骨もぽろりと取れるよ。お腹のなかはまっくろくて、ちょっと苦いかもしれないけど、すぐに食べれば大丈夫。ね、だから私を食べて。骨まで割って中の髄まで啜って食べて。余さず食べて。
 ふにゃふにゃした笑顔でそう言うものだから、可愛くて憎たらしくてたまらない。お前は食われるものだ。食われるものが可愛いのは当たり前だ。わかっていて自分で言うとは、図々しい奴。そう言ってやれば、困ったような顔でそうかもしれないねえなどと抜かす。
 でもね、と言葉が続くのはわかっていたから、喉にナイフを突き立てた。さすがにまだ腕は鈍っていなかったらしい。丁寧に血抜きをし、神への供物にするように捌いて、串に刺して焼いた。腸は煮て食べることにした。
 肉は確かに柔らかだった。骨は髄まで美味かった。
 そして腸に手をつけた。それから先は覚えていない。なぜなら腸には毒があったからだ。吐いても吐いても指の先まで回る毒。
 してやられたと思ったときには、もう指の一本すら動かせなかった。そしてそんな俺を、へぼ詩人は見下ろしていた。まっくろい、沼のような目で。笑ってすらいなかった。かすかに覗く歯だけがいやに白かった。
 こんどは私が君を食べてあげるよ。最後に聞いたのはそれだけだった。
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