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2024/05/05  [PR]
 

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 銀英伝本伝、読み終わりました。八巻からがちょっと気持ち的に長かったなあ……。
 感想は一応たたんでおきます。今更ネタバレもへったくれもないような気もしますが、念為。



 一人の人生から、一国の興亡、思想の移り変わりまで、非常に動的に描かれていた作品でした。モブに悲喜あり、脇役に人生あり。主役級の人物たちは言うに及ばず。それも「あー、いるよねこういう奴」というような“身近さの面白さ”というよりは、“架空の人物としての面白さ”を全面に押し出した造形で、魅力的。
 読後感は、まあ作品の組み立て方を考えれば当たり前っちゃ当たり前なんですけど、「おもしろいSFを読み終わった感じ」よりも、「おもしろい歴史小説を読み終わった感じ」に近いです。私個人としては、SFの括りには入れづらいです。36世紀にもなってまだ民主主義の意義についてアレコレ悩まなきゃいけないのはイヤだなぁ!とか、人間そのものに手を入れたほうが早くないか?とか。でもこういう視点からのツッコミは、この作品に関してはいささか的外れでしょうね。
 それにしても、「ああ、この人達はこの時代を『生きて』いたんだなあ」というなんともいえない感慨です。来るはずのない、過去の未来の未来の過去の歴史なのだけど、そう思わせる力量はすごいです。ただ、作者自身の思想がやや鼻についたり、展開が速いときに「後世の歴史家」の考察が挟まってきて、「続きは!?ねえ続きは!?」とヤキモキさせられたところもあることには、あります。しかし人物の魅力と歴史のダイナミズムはそれを補って余りあるものがありました。
 人物について。ヤン・ウェンリーというキャラクターは特異ですね。戦略/戦術に関しては天才以外の何物でもないくせに戦争そのものは嫌い、(本人の意志に反することではあっても)高い地位につき、問題児たちを束ねる度量を持っていながら、気に入らないお偉いさんに対しては「子供か!」と言いたくなるレベルでポーズすら取らなかったり、「ある意味、奇形といってもいいのかもなぁ」と思いながら読んでいました。彼の死については前々から知ってはいたのですが、そのくだりを読んだあとは三日くらい続きを読む気が起きませんでした。でももしユリアンを後継として押し出すつもりだったのなら、退場はもう少し早くてもよかったのではないか、という気もしないでもないです。誤解を招くかもしれないので言っておくと、ヤンはすごおおおおおく好きです。押し倒したり、脱がせたり、あんあん言わせたりしたい程度には好きです。ユリアンもかなり好きなんですが、最後復讐で地球教徒を撃つ必要はなかったんじゃないかなぁと思うのです。彼がのちの体制の母体をつくるのに携わるのなら、特に。
 対してラインハルトはわりとオーソドックスな天才タイプのような感じがしました。「先立つものを殺」し、新たな秩序を拓く覇者。銀河版織田信長?どうも話によれば曹操あたりがモデルなようですが。少年めいたイキイキした姿もあり、天然なのか?と思わせるところもあり(ヒルダの家に花束を持っていくくだりは可愛かったなあ!)まったく共感のとっかかりがない、というわけでは無いのが見事ですね。キルヒアイスはもうちょっと長生きしてもよかった……。ラインハルトの場合は戦場で生き生きと指揮を執る姿に美しさを感じていたので、ヤンの死や病によってだんだんそれがなくなっていくのがとても寂しいものでした。登った日は落ちるものとはいえ……。しかしつらつら思うにつけ、帝国側で最強なのはもしかしてアンネローゼ様なのではないかという思いが離れません。
 あとイゼルローン要塞の愉快な仲間たちとか、帝国の双璧や元帥達など魅力あるキャラは山のようにいるんですが、とりあえず今日はここで。でもみんな、ラスト三章で死に急ぎすぎだ!いのちだいじに。
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